チャート(CHART)の中にはアート(ART)が含まれています。
その名の通り、チャートには不思議と調和していると思わされるパターンがあり、
そこに目を付けたのが今回のハーモニックパターンです。
チャートの分析は右脳で、リスク計算や合理的な判断と行動は左脳を中心として
行うことが投資には求められます。
調和された型は美しく、その先には希望と羨望が渦巻いている。
渦巻く場所はレジスタンスやサポートとなり、高確率で反発していく。
ハーモニックパターンとはそのようなものだと思ってください。
ハーモニックパターンとは何か
ハーモニックパターンとは、フィボナッチ比率を使ったチャートパターンのことで
主に【23.6%・38.2%・50.0%・61.8%・76.4%】の5つが使われます。
欧米の投資家が好んで使うチャートパターンで、勝率は80%という驚きの高さです。
上図はハーモニックパターンの全4つのうちの1つ、バットというパターンですが
細かい条件をクリアした一番右端のターゲットはバットの目標値条件に
ピッタリと当てはまります。
この目標値Dを割り出していくのがハーモニックパターン分析です。
それぞれのパターンとその亜種は1つ1つ記事別にして紹介しますので、
今回は4種類の基本パターンの条件や名前だけを解説します。
ハーモニックパターンの特徴とメリット
ハーモニックパターンは以下の4つの特徴があります。
特徴1 フィボナッチ比率を使う
フィボナッチ比率はフィボナッチ数列の中に現れる不思議な比率のことで、
具体的には0.382、0.618、1.618などの比率です。
フィボナッチ数列は向日葵の花やオウム貝を例にするように自然界のものにたくさん見られます。
フィボナッチの数列や比率には不思議と心地よいパターンや形となっているため
人間も自然の一部であるため、無意識にフィボナッチ数列や比率を意識してしまうと言われています。
相場はシステムトレードが全盛とはいえ、心理的側面が多く関係するため
チャートの形もフィボナッチ数列や比率が意識されるという考え方があります。
特徴2 幾何学模様
幾何学とは図形を考察する学問のこと。
幾何学模様とは三角形、四角形、六角形などの多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、平行移動、反転、回転、色の変化、拡大・縮小、分割などの操作を加えながら連続して組み合わせ配列を展開してつくった模様です。
ハーモニックパターンは基本的に2つの三角形を組み合わせた形で表現します。
特徴3 順張り&逆張り両方とも狙える
ハーモニックパターンはダブルボトムやダブルボトムが基本になっています。
つまり、ダブルトップ、ダブルボトムの予備軍になったら
ネックラインを超えていくタイミングが順張りのタイミング。
ハーモニックパターンの目標値Dからは逆張りのタイミングとなります。
特徴4 リスクリワードが格段に良い
特徴3の順張り、逆張りのタイミングがリスクが通常より限定しやすく、
プロフィットターゲットがリスクの数倍になることが多くなります。
ハーモニックパターンの人気があるのはこのためです。
ハーモニックパターンは、基本4種類、派生9種類
ハーモニックパターンは、基本のパターンである
バット、ガートレー、バタフライ、クラブのクラシックパターン4種類。
変形ハーモニックパターンのオルトバット、ディープクラブ
特殊ハーモニックパターンの5-0パターン、スリードライブ
新種ハーモニックパターンのサイファー、ネンスター、シャーク、ブラックスワン、ホワイトスワン
などの派生パターン9種類があります。
基本パターン以外にも9種類ありますが、全部覚える必要はありませんし、
使う必要もありません。基本4種類以外は通常のチャートパターンや
サポートレジスタンスで代用できるためです。
以下一覧として、各パターンの図解を載せます。
クラシックハーモニックパターン4種類
バット
ガートレー
バタフライ
クラブ
派生ハーモニックパターン9種類
<変形ハーモニックパターン>オルトバット
<変形ハーモニックパターン>ディープクラブ
<特殊ハーモニックパターン>5-0パターン
<特殊ハーモニックパターン>スリードライブ
<新種ハーモニックパターン>サイファー
<新種ハーモニックパターン>シャーク
<新種ハーモニックパターン>ネンスター
<新種ハーモニックパターン>ブラックスワン
<新種ハーモニックパターン>ホワイトスワン
ハーモニックパターンはシンプルな組みわせで出来ている
ハーモニックパターンは難しそうな印象を受けますが、
実際はすごいシンプルに説明できます。
上図の青点線を見てください。
最初のA点までの動きからX点にどれだけ戻ったかがB点。
B点からどのくらいA点に向けて戻ったかがC点。
C点からB点を超えてどこまで向かったがD点です。
この戻りの比率別にパターンを分類したのがハーモニックパターンです。
ハーモニックパターン=[X-Aのリトレイスメント率]+[BCとACのリトレイスメント率]+[Dへ向かうエクステンション]
で出来ていると言えます。
ハーモニックパターンの見方
ハーモニックパターンは各値動きの流れのリトレイスメントとエクスパンションが元です。
B点:❶X-Aのリトレイスメント
C点:❷A-Bのリトレイスメント
D点:❸B-Cのエクステンション
D点:❹X-Aのリトレイスメントまたはエクステンション
各点の比率によってハーモニックパターンが分けられ、
厳密に決められているポイントやある程度の幅の余裕を持たせたポイントがあります。
これが悩ませる原因の1つでもあります。
これらすべての比率を覚えておかないと、ハーモニックパターンを使いこなせません。
ハーモニックパターンを見極めるときの頂点の取り方
ハーモニックパターンを使うときの各頂点の取り方ですが、
GMMAを使ったやり方(判別方法はトレンド)が比較的やりやすいです。
GMMAを使ったライントレード/ビル・ウィリアムズ手法を組み合わせたトレード方法
値動きの山(トップ)と谷(ボトム)を見分けるのがとても簡単になる3つの方法(ワイルダーの定義、バランスライントレード、GMMA)
まとめ
ハーモニックパターンの基本的なことは理解できましたでしょうか?
ハーモニックパターンがなぜ通用するかというと、本当のところはわかりません。
フィボナッチ比率の心地よい長さを無意識に意識しているかもしれませんし、
単純に過去の値動きの出来高によって意識されているポイントかもしれません。
ハーモニックパターンを使っている人が多いからという理由は
眉唾ものなので信頼できませんし、根拠がありません。
ハーモニックパターンのD点の予測範囲にばらつきがあるのも
結局はそういうことだということを物語っています。
なので、あまり過信せずに、他のフィルターを使いながら
うまくパターンを使いこなせるようにならなくてはいけないということです。
これから全4回の記事で各パターンを解説していくので、
しっかりと付いてきてくださいね。
補足
ハーモニックパターンを計測するには専用のツールがある方が便利です。
JForex3とTrading Viewのチャートではハーモニックパターンツールがあります。
またそのほかにもAB=CDを計測するツール、トライアングルを計測するツールがあります。
どちらも使い勝手は同じなので、好みの方を選ぶと良いでしょう。
ハーモニックパターン早見表 | |||
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