ハーモニックパターン13回目の最後の記事はABCD(AB=CDパターン)です。
その前に過去12回の記事はこちら。
今回のABCDはハーモニックパターン以外でもよく使われており、
AB=CDという言葉を聞いたことはあるのではないでしょうか。
この基礎を最後に持ってきた理由は、この部分だけを意識して欲しくないからです。
AB=CDでもそれ以上に動くケースが多くあり、ハーモニックパターンではそのケースが全てです。
そのためAB=CDパターンはAB≠CDでもあることを意識して欲しかったのです。
ハーモニックパターンにはならないケースで多用するAB=CD理論を
早速基本構造や条件、実例チャートを交えて見ていきましょう。
ABCDの基本構造と条件
⑴ABの長さ=CDの長さ
⑵C点のリトレイスメント基準はなし(A点を抜けない)
ABCDパターンの実例
通常、AB=CDパターンの時はフィボナッチエクスパンションを使い、D点を求めていきます。
AB=CDパターンはこのようにA-Bの距離とC-Dの距離が等しく動くことを言い、
そのD点を利食い目標(プロフィットターゲット)、逆張りエントリーとして用います。
しかし必ずしもAB=CDと等しいわけではないため、いくつかのイレギュラーなパターンがありますので、順番に解説していきます。
3種類のAB=CDパターン
1.時間論としてのAB=CD
A-Bを作った値動きの時間とC-Dを作った値動きの時間が等しくなるという
一目均衡表の時間論のAB=CDパターンです。(価格のAB=CDも成立)
基準となるABの時間よりも早くC-Dが値幅に到達したら、時間の調整が必要なため
もみ合いに入りやすくなります。
逆に長く時間がかかった場合は、一気に値が動いていくのか、逆方向に動くかを見ていくことになります。
しかし実際の相場では全く同じ時間幅というのは稀であり、目安程度にしかなりません。
チャート実例
USDJPY(ドル円)1時間足のチャート。
A-Bにかかった時間をCから数えたのが[縦線3]のあるポイントです。
(偶然にもA-Bにかかった時間がB-Cにかかる時間と同じ)
しかしかかった時間でも価格が到達していないため、
何かしらの動きがこの後複雑に出てきやすいという形になります。
このようなケースもあるため、時間論のAB=CDパターンは単体で使うことはせず、
後述する「チャネルライン」を使ったものと組み合わせることになります。
2.クラシックAB=CDパターン
ハーモニックパターンで有名なスコット・カーニー氏が理想的なAB=CDパターンとしているのが
クラシックAB=CDパターンです。
実際にこんなに綺麗な比率で出ることは稀なため
ABの距離=CDの距離、B=Cエクステンション127%/161.8%として
D点の到達範囲を
2つの比率があるため、個別に説明します。
BCエクステンション 1.618(CはABのリトレースメント61.8%)
⑴C点がABのリトレースメント61.8%
⑵D点がBCのエクステンション161.8%
⑶そのとき、AB=CDになる
実線のフィボナッチリトレイスメントがAB=CDを表し、
点線のフィボナッチリトレイスメントがBCエクステンション161.8%です。
C点が61.8%まで戻してきたとき、そのポイントからのA-Bの距離を測ると
BCエクステンション161.8%と同じになっています。
BCエクステンション1.27(CはABのリトレースメント78.6%)
⑴C点がABのリトレースメント78.6%
⑵D点がBCのエクステンション127%
⑶そのとき、AB=CDになる
実線のフィボナッチリトレイスメントがAB=CDを表し、
点線のフィボナッチリトレイスメントがBCエクステンション127%です。
C点が78.6%まで戻してきたとき、そのポイントからのA-Bの距離を測ると
BCエクステンション127%と同じになっています。
3.AB=CDエクステンション
スコット・カーニー氏がAlternateAB=CDパターンとして紹介しているのがこのパターンです。
(Alternate:代わりの意味)
⑴C-DがA-Bエクステンション127%
⑵C-DがA-Bエクステンション161.8%
A-Bの長さのフィボナッチ比率に似た比率で伸びることが多いため、
127%と161.8%の延長は許容するということを決めました。
※図では-27%、-61.8%と表記していますが、同じ意味です。
個人的に上昇相場は下から上に、下落相場は下から上にフィボナッチリトレイスメントを
引きたいため、設定をカスタマイズしています。
ABCDパターンが様々な分析方法に使われている
ABCDパターンはチャート分析に使われることが多いです。
・ハーモニックパターン
・N波動(値幅論)
・チャネルライン
ハーモニックパターン
ハーモニックパターンは今までやってきましたが、
正確に言えば、ABCDパターンではありません。
BCのエクステンションやリトレイスメントしか使わず、
A-Bのリトレイスメント率は必要としてないからです。
USDCAD(ドルカナダ)週足
ABCDパターンでよく使われるのが値幅論のN波動で、
これが一番有名で見分けがつきやすいです。
その上で先のAB=CDエクステンションのパターンを候補に入れると
想定範囲として慌てずに済みます。
逆に言えばクラシックAB=CDパターンは当たり前のことを言っているだけで
あの形のように綺麗に出ることは稀です。囚われ過ぎると大事なことを見失います。
チャネルライン
ABCDパターンはチャネルラインにも使われます。
上図のように青のチャネルラインや赤茶のチャネルラインでAB=CDを確認できます。
ここで注目したいのは、時間論のAB=CDパターンです。
青チャネルラインではABの時間幅よりも前にAB=CDの値幅が完成しています。
ほぼ半分くらいの速さで到達しています。
しかし赤茶チャネルラインのようにABの時間幅とほぼ同じ時間幅で
AB=CDの値幅が完成しています。
この⑵つのチャネルラインを見比べるとABの時間幅よりも到達時間が早くAB=CDの値幅が完成するときはチャネルラインを抜けることが多いということです。
先ほどのUSDCADのチャートもチャネルラインを引いて時間論を当てはめれば
ABの時間幅より早く値幅を達成しています。
こうなると元のチャネルラインの中に戻理、AB時間幅まで高値更新をしない動きになるか
AB=CDエクステンションのような動きになるかを考えていくことになります。
ABCDパターンはこのように使うと実践的な感覚が身につきます。
ABCDパターンのまとめ
ここまでいかがだったでしょうか?
ABCDパターンは単体で使うよりも値幅と時間論を両方補えるチャネルラインを使うと効率的です。
また、エクステンションの比率も127%と161.8%の2つに限定されるため覚えやすいです。
ハーモニックパターンを全て覚えるよりも、ABCDパターンを先に極めてしまう方が
個人的には効率的、かつ効果的だと思っています。
この機会にABCDパターンを習得し、実践で使えるまで練習を繰り返してください。
以上で、全13回に渡って解説してきたハーモニックパターンを締めたいと思います。
ハーモニックパターン早見表 | |||
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