インディケーターの王道といえば、移動平均線、ボリンジャーバンド、
一目均衡表、RSI、ストキャスティクス、RCI、MACDですが、
期間設定を必要としないインディケーターの王道といえば、Pivotです。
期間設定が必要だと人によってばらつきが出てしまいますが、
期間設定が必要なければ、誰が使っても同じポイントが表示されます。
(FX会社提供のレートの差はある)
今回は誰が使っても同じポイントが表示されるテクニカルの王道の1つ、
Pivotについて種類別の計算式と簡単な使い方を、JForex3のチャートを使って解説していきます。
Pivot4種類とメリット/デメリット
Pivotは「回転軸」という意味があり、J・W・ワイルダーが考案したテクニカル指標です。
J・W・ワイルダーはワイルダーの定義という反転/反発の定義を作り上げたり
RSI、DMI、パラボリックSAR、ATR、モメンタムなどを開発した方です。
余談:モメンタムは一目均衡表の遅行線と同一の考え方
ある一つの軸(前日の終値(C))を中心とし、
高値(H)/安値(L)を組み合わせて計算していくことで
サポート(S)とレジスタンス(R)の数値を導き出す指標です。
フィボナッチの比率や特定の比率を組み合わせて派生させたものが
Fibonacci Pivot、Woodie Pivot、Camarilla Pivotです。
メリット
・使うPivotの種類が同じならば、計算式が統一されているため
FX会社のレートの誤差はあれど、ほぼ同じポイントが
Pivot Point(ピボットポイント)、R(レジスタンス)、S(サポート)として
表示される。
・月足、週足の各ポイントと日足のポイントが近似値であれば
強く意識される可能性が高い。
デメリット
・必ずしも表示されたポイントが意識されるわけではない。
・相場の流れを適切に読み取る能力がなければ使いこなすことは難しい。
他の指標もしくは値動きの本質に沿った理論との併用が理想。
・レンジからブレイクした場合、簡単にR3やS3を超えてしまう
Pivotの表示方法
インディケーターから検索窓に[pivot]を入力。
Pivot一覧が出るので、好みのPivotを選択する。
[入力]タブの[Show historical levels]にチェックを入れると過去にも表示され、
直近だけでよければチェックを入れない。
1つの足に複数の時間軸のPivotを表示させたい場合は
[アドバンス]タブの[期間]から表示させたい期間を選択する。
以上がPivotの表示方法です。
次からはそれぞれの計算式を見ていきます。
Pivotの計算式
王道の基本的なPivotです。
R3=前日高値+2(PP−前日安値)
R2=PP+(前日高値ー前日安値)
R1=(2×PP)−前日安値
PP=(前日終値+前日高値+前日安値)÷3
S1=(2×PP)−前日高値
S2=PP−(前日高値ー前日安値)
S3=前日安値−2(前日高値−PP)
Fibonacci Pivotの計算式
計算式を見ると、前日の変動レンジにフィボナッチの比率を掛けることで
黄金律を意識したPivotになります。
しかし実際にはあまり意識されないことが統計的に出ています。
ですが、前日までのラインと当日のラインがほぼ同じ場所は
意識されやすい特徴を持っています。
R3=PP+(前日高値−前日安値)×1.000
R2=PP+(前日高値−前日安値)×0.618
R1=PP+(前日高値−前日安値)×0.382
PP=(前日終値+前日高値+前日安値)÷3
S1=PP−(前日高値−前日安値)×0.382
S2=PP−(前日高値−前日安値)×0.618
S3=PP−(前日高値−前日安値)×1.000
Woodie Pivotの計算式
直近の価格に重点をおいたPivotがWoodie Pivotです。
直近の価格に重点をおいたものといえば移動平均線でいう所のEMAですが
そのPivot版と思えば理解しやすいと思います。
そのためデイトレード向きのPivotです。
PPの計算式を見れば分かるように当日の始値を2倍しているものを足しています。
この部分は前日終値の2倍としているものもありますが、
直近に重点を置くならば当日の始値が適正だと思います。
どちらにしても窓を開けてスタートしなければ基本的に遜色ありません。
R4=R3+(前日高値−前日安値)
R3=前日高値+2(PP−前日安値)
R2=PP+前日高値−前日安値
R1=(2×PP)−前日安値
PP={前日高値+前日安値+(当日始値×2)}÷ 4
S1=(2×PP)−前日高値
S2=PP−前日高値+前日安値
S3=前日安値−2(前日高値−PP)
S4=S3−(前日高値−前日安値)
Camarilla Pivot
Nick Stottが考案した、価格の行き過ぎを図る目安となるPivotです。
Camarillaの語源はラテン語の部屋(カメラ)から。
R4=前日終値+(前日高値−前日安値)×1.5000
R3=前日終値+(前日高値−前日安値)×1.2500
R2=前日終値+(前日高値−前日安値)×1.1666
R1=前日終値+(前日高値−前日安値)×1.0833
PP=(前日終値+前日高値+前日安値)÷3
S1=前日終値−(前日高値−前日安値)×1.0833
S2=前日終値−(前日高値−前日安値)×1.1666
S3=前日終値−(前日高値−前日安値)×1.2500
S4=前日終値−(前日高値−前日安値)×1.5000
Pivotの使い方
Pivotを効率的かつ効果的に使うには、いくつかの工夫が必要です。
工夫のバリエーションとして、以下の4つのことを説明していきます。
1.月足、週足のPivotを表示させて意識されやすいゾーンを見つける。
図はPivotの日足、週足、月足を重ねて表示したものです。
過去の各PivotのR/Sラインと照らし合わせて、直近で意識されるかもしれない価格帯を
ピンクの枠で囲いました。
このように過去のR/Sライン、PPラインがほぼ一致する部分や近いものは
意識される可能性があるという推測のもと、事前にわかりやすく着色しておくと
いいです。
2.違う種類のPivotを2種類組み合わせる。(日足だけで良い)
図はFibonacci Pivot(日足)とWoodie Pivot(日足)を組み合わせたものです。
この組み合わせがオススメの理由は、フィボナッチ比率のFibonacci Pivot(日足)と
直近の動きに重点をおいたWoodie Pivot(日足)だからです。
自然界で意識されているフィボナッチとデイトレードに最適なWoodieの
いいとこ取りをした組み合わせです。
3.レジスタンス、サポートラインなどと組み合わせる。(R/Sラインなど+1種類以上のPivot)
レジスタンス/サポートライン(R/Sライン)やトレンドライン、チャネルラインと
組み合わせて使う方法です。
上図はWoddie PivotにチャネルラインやR/Sラインと組み合わせて使っており、
意識されるかもしれない部分は赤枠で囲いました。
この部分で反発反転するのか超えてくるかで状況が変わると推測して
トレード戦略を立てていきます。
4.Volume Profileと組み合わせる。(Volume Profile +1種類以上のPivot)
JForex3で使うことができるVolume Profileと組み合わせて使う方法です。
図ではWoodie Pivotを使っています。
両方で意識されやすい部分を赤枠で囲いましたが、意識されそうな部分が
ほぼ一致しています。
まとめ
ここまでいかがだったでしょうか。
Pivotは逆張りとして使うことが基本的な使い方とされていますが、
逆張りするならするで根拠がなければリスクだけが大きくなります。
そのフィルターとして違う種類のPivotを使ったり、
時間軸の異なるPivotを使ったり、複数を組み合わせて使うなど
工夫が必ず必要になります。
Volume Profile、Fibonacci Pivot(日足)、Woodie Pivot(日足)、
チャネルラインやトレンドライン、平行線を使うのがベストだと思います。
どんなPivotを使うにしても線が多くなりがちになるため、
自分のトレード理論が確立された状態になってからフィルターとしてPivotを使ってください。
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