エリオット波動は相場の行き先候補を明確にする方法の1つです。
解説されている図はとてもシンプルですが、実際の相場でカウントするには難しいという
後付け理論として広まっています。
しかし後付け理論ではなく、先行指標として使えるようになるには過去チャートの検証、
リアルタイムの検証が必要になります。
しかしそれでも難しいことがあるのはなぜでしょうか?
答えは「修正波の形とダウ理論を組み合わせてトレンドを見ていないこと」です。
この組み合わせで考えることで推進波なのか修正波かを判断しやすくなり
カウントを考えやすくなります。今回はこの部分を深掘りしていきます。
この後の説明では上昇の動きをベースにしています。
当然下落の動きもあるため、上昇の動きの逆として考えてください。
基本的なエリオット波動の動きをトレンドラインで考える
先日Xにこのようなポストをしました。
エリオット波動をトレンドラインを引いてカウントを分かりやすくする内容です。
⭐️上昇時の推進波の考え方(下落時はこの逆)
✅ (0)と(2)を結んだトレンドラインを抜けたら(4)ができる
✅ (2)を下回らずに、(3)を超えてきたら(5)ができる
※(4)の動きが拡大フラットパターンになってから(5)ができる
✅ (2)を下回ったらトレンド転換となり、推進波の条件から外れる
⭐️上昇時の修正波の考え方(下落時はこの逆)
✅ (4)の安値を下回りトレンド転換すると推進波は終了
✅ (5)と(B)を結んだトレンドラインを超えてきたら修正波は終了
✅ 次の動きを観察する
トレンドラインを抜けてもトレンド転換ではなく、ラインを引くための起点と終点の終点を
抜けない限りはトレンドが続いていくというダウ理論も含めた考えです。
これを考えずにエリオット波動をカウントしていくから、波の形が分からなくなってしまいます。
トレンドラインの終点(修正波の終わり)を見極めることが重要!
トレンドラインを引くためには起点は誰でも分かりますが、
終点が分からない人が多い傾向にあります。
これはなぜかというと終点は修正波の終わりであること以外に
修正波は複雑な動きをすることが多く、時間の影響をかなり受けることにあります。
2波、4波の修正波パターン

2波、4波の修正波のパターンはこちらになります。
2波は「2波の動き」の左:ジグザグパターン、右:フラットパターンがあります。
4波はこれにトライアングルの動きが追加されます。
※2波は絶対にトライアングルパターンにはなりません
フラットパターン(レンジ)には上に出てから下落しトレンド方向に戻る動き、
上下に出てからトレンド方向に戻る動きの2種類があります。(下図)
上図では解説上、見づらくなるため記載していません。(拡大フラット、ランニングフラット)

修正波が終わったサイン
修正波が終わったサインを見分けるのは難しいことがあります。
修正波は調整の場面で発生するため今までのトレンドを支えてきたポジション量を解消したり
新規で反対売買するトレーダーの動きで動きが複雑になりやすく、そのため時間もかかります。
強いトレンドが発生しているときは時間が短くなりますが、トレンドが弱くなってきた場合や
ファンダメンタルの影響で取引量が少なくなったり、新規売買が鈍化してきた場合は
時間が想像以上にかかります。
これらのことを踏まえて、修正波の基本原則である3波構成の最後C波に短期のトレンドラインを引き
トレンドラインを超えてきたら修正波が終わったサインとして考えます。

なぜ修正波の終わりが見分けづらいのか、難しいのか
修正波の終わりが見分けづらい要因として以下の3つが挙げられます。
1.今、見ている時間軸のチャートで波を見ることができていない
2.今、見ている時間軸のチャートを短期的な視点で見てしまっている
その結果、見ている時間軸の1つ以上下の時間軸のトレンドで判断してしまいがち
3.修正波は大きな戻り、時間のかかる横への動きを理解できていない
1つずつ見ていきましょう。
1.今、見ている時間軸のチャートで波を見ることができていない

チャートはドル円の1時間足チャートです。
1時間足チャートで戻りである修正波の終わりは緑丸の部分です。
※実際にはこの先のチャートを見ると、この部分は修正波A波ですが、ここではC波と仮定します。
今、見ている時間軸のチャート(1分足、15分足、日足でも)できちんと修正波を
見分けられるようにすることが大切です。
2.今、見ている時間軸のチャートを短期的な視点で見てしまっている

先ほどと同じチャートで解説します。
短期的な視点というのは赤丸を修正波の終点としてみた場合の
エリオット波動のカウントになります。青矢印の動きで見ています。
エリオット波動で見た場合、短期的なダウ理論で見たとき正しいですが
このチャート(1時間足)で見た場合では、1波(主波)の推進波ということになります。
つまり副次波と呼ばれるものです。
1波動(1つの波)は5波動の推進波(副次波)+3波動の修正波(副次波)で出来ている
3.修正波は大きな戻り、時間のかかる横への動きを理解できていない

修正波をぱっと見で見つけるには2つのコツがあります。
1.大きく戻している
2.時間をかけて横に動いている

上チャートを1時間足で見た場合の修正波が赤丸です。青矢印は修正波の向きです。
一番右端の赤丸は下落時の修正波です。
この例でも分かるように、最初にエリオット波動を学んだ人や慣れてきた人は推進波で
エリオット波動をカウントして見つけようとしますが、
実際には修正波の動きを見てカウントを考える方が圧倒的に楽でカウントの間違いが減ります。
修正波の数に注目する
1.副次波で修正波が2つあるなら主波の推進波、1つなら主波の修正波
2.副次波で修正波が1つの場合が続く場合は主波で修正波が続いている
3.副次波で3波動が続く推進波の5波目がある(エンディングダイアゴナル)
この3つをそれぞれ考えていきます。
1.副次波で修正波が2つあるなら主波の推進波、1つなら主波の修正波

これは先ほどと同じです。
基本的に値動きが大きく動き出す時はこのパターンがほぼ全てです。
この図では4時間足チャートのため、青矢印の動きは「日足レベルの副次波」として考えます。
2.副次波で修正波が1つの場合が続く場合は主波で修正波が続いている

先ほどの4時間足チャートの推進波「4波の修正波」の動きのようなときです。
1時間足チャートに移動して「4波の修正波を構成する副次波」を考えると
オレンジの動きになります。
トライアングル(三角持ち合い)のパターンであり
全て修正波の動きである3波構成となっています。
このような場合は1つ上の時間軸の「4時間足の主波」で修正波が続いていることになります。
3.副次波で3波動が続く推進波の5波目がある(エンディングダイアゴナル)

トレンドが起きた場合の最後の最後に起きる特殊パターンです。
発生頻度は低いですが必ずトレンドの最終局面で起きるため、見つけた時はチャンスになります。
3波構成なので一見、修正波のように見えるため様々な注意が必要ですが
必ず考えておかないといけないパターンです。
1波と4波が重なり、副次なみで5波目ができたらエンディングダイアゴナルパターンとみなします。
トレンドラインで修正波の候補、ダウ理論でトレンドを見極める
結論としてダウ理論だけで良いということになりますが、
ダウ理論だけでは補完できないトレンドの強さや戻りの強弱をエリオット波動で考えることになります。
そのためにトレンドラインを使って、トレンドライン抜けで修正波の候補を導き出します。
これはエリオット波動を学んでいる段階で基礎として書かれているものです。
しかしエリオット波動のカウントや形に意識するがあまりダウ理論によるトレンドを
忘れかねないのであえて書いています。

1.推進波では(0)-(2)のトレンドライン(オレンジ)を抜け、
かつラインの下に安値があることが大事。(ない場合も多くある)
2.修正波では(5)-(B)のトレンドラインを超え、
かつそのラインの上に高値があることが大事。(ない場合も多くある)
少し分かりづらいですが、相場において似たような動きは多くあっても
必ずセオリー通りになるとは限らないことも多く存在します。
そのため絶対的な指標であるダウ理論によるトレンド判断が必須になります。
エリオット波動はトレンドを形成する波を判断する方法であり
ダウ理論はトレンドそのものを定義する方法です。
この2つがそれぞれ補完し、相互作用することでチャートは本来の姿を見せます。
エリオット波動の推進波の4波は1波重ならないという条件を満たしたら
トレンドが継続することを考えたり、重なっても5波目を作るならエンディングダイアゴナルパターンを
意識するように戦略変更するなどシナリオ作成の重要なポイントとなります。
エリオット波動とダウ理論を組み合わせて使うこと、今回の内容をしっかりと把握して
過去チャートで検証、デモ口座を使ってリアルタイム検証をして自分の武器としてください。
まとめ
- トレンドラインの終点を見極める(修正波の終わり)
- 修正波の終わりをC波の短期的なトレンドラインを抜けることで判別
- 今、見ている時間軸のチャートで波を見る
- 今、見ている時間軸のチャートを短期的な目線で判断しない
- 1波動(1つの波)は5波動の推進波(副次波)+3波動の修正波(副次波)で出来ている
- 修正波は大きな戻り、または時間をかけて横に推移する
- 修正波の動きでエリオット波動のカウントを取ると間違いが減る
- 修正波の数に注目する
- トレンドラインで修正波の候補、ダウ理論でトレンドを見極める
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