ディ・ナポリ手法、5回目の記事は、MACD+ストキャスティクスを解説します。
ここまで4回やってきましたが、今回でディナポリ手法に関しては最後です。
今回はMACDとストキャスティクスを組み合わせたものを
フィボナッチリトレイスメントと一緒に使って取引していく方法です。
まずはこの記事を読み、それぞれの基本をおさらいしてから
この先を読み進めていきましょう。
MACDはトレンド相場に強いがレンジ相場に弱い、その理由と対策を解説
ストキャスティクスの計算式から、チャートで読み取る4つのこと
MACDとストキャスティクスの設定
ディナポリ手法では、この2つのインディケーターを組みわせるとき
通常の基本設定の数値からいくらか変更をしています。
MACDに関してはかなり細かく、小数点4位まで計算しているものを使っていますが
普段使っているようなチャートでは、そこまで詳細に設定できません。
よって小数点以下を省略した数値で表します。
MACD
Slow Period:17期間
Signal Period:9期間
に設定します。
きちんとした数値は以下です。
ファスト期間:[8.3896]
スロー期間:[17.5185]、[9.0503]
先述したように小数点1位以下を四捨五入しているため
本来なら[17期間]ではなく[18期間]になりますが、1期間程度なら影響はほぼないため
この数値で構いません。
移動平均線の種類はDEMA(二重指数移動平均)を使います。
ストキャスティクス
ストキャスティクスの設定は注意が必要です。
Slow %K:3期間
Slow %D:3期間
さらにMA Typeを両方ともSMMA(修正移動平均線/平滑化移動平均線)を使っていきます。
通常であればSMA(単純移動平均線)を使いますが、
ディナポリ氏はSMMA(修正移動平均線/平滑化移動平均線)以外は
検証した結果、無益だったと言っています。
ちなみにディナポリ氏が検証して有益だと判断したものを
優先ストキャスティクスと読んでいるため、この表記があるストキャスティクスを
搭載しているチャートなら、これを使う方が良いです。(使うならば)
MACD+ストキャスティクスの使い方
MACDと比べてストキャスティクスはシグナルが多く出てしまうため
意図的にストキャスティクスの優先順位を下げて使います。
1.強いトレンド指標とは、少々悪い材料があっても押し戻す力があるかないかを示しています。
そのため、明確なトレンドが見えるまでに時間がかかりますが、一度乗ってしまえばなかなか崩れません。
要するに、少し崩れたら逃げてしまう腰の引けたプレーヤーは放っておいて、
大口のローカルや小口のローカルズ集団に付いていこうとしているのです。2.逆に弱いトレンド指標は、腰の引けたプレーヤーの手の内を明かしてくれます。
目先の天井に惑わされるプレーヤーは、相場が少し傾くとすぐに利食いや損切りを始めます。
実はその時こそが、腰の引けたプレーヤーからポジションを奪い取る絶好のチャンスなのです。ディナポリ氏は上記1,2を考慮に入れて、「MACDが買いシグナル(強)+ストキャスティックスが売りシグナル(弱)」という条件を短期の押し目のシグナルとして買っているのです。
引用部分はディナポリ氏の言葉です。
要は、MACDのトレンドが出ているトレンドの方向に、
ストキャスティクスの方向が合うタイミングが、
トレードを開始するのに適している押し目や戻りのタイミングであるということです。
このときのストキャスティクスのタイミングとは、
%Kと%Dがクロスしたことを確認したことであり、
次のローソク足で取引開始します。
実際の事例で解説します。
チャート事例
GBPUSD(ポンドドル)4時間足のチャートです。
MACDのトレンドが出た後のストキャスティクスの同方向へのクロスが確定した部分を
縦点線で記しています。
MACDクロスとストキャスティクスクロスの方向が同じタイミングで揃うものは
判別方法として適さないため除外しています。
エントリー条件
ディナポリはさらに次のことをトレード条件に入れています。
・上昇トレンド(MACD買い)にある押し目(ストキャスティックス売り)をフィボナッチ数列に基づく水準で買う。
・下降トレンド(MACD売り)にある押し目(ストキャスティックス買い)をフィボナッチ数列に基づく水準で売る。
つまり、MACD+ストキャスティクスのシグナルが揃った後にできる
フィボナッチ水準の押し目や戻りを待ってから取引に望むということです。
この条件を記載したのが上図です。
この事例だけでは判断しにくいですが、押し目や戻りを狙う前に
MACDのトレンドが転換してしまうことが多いため
エントリー機会は少なくなります。
EURUSD(ユーロドル)4時間足を見てもエントリー機会がほぼないです。
あるとすれば、トレンドが本当の意味で転換するタイミングであり
そのポイントを狙うことが、MACD+ストキャスティクスの本当の狙いかもしれません。
利食い/損切り条件
MACD+ストキャスティクスのトレンド方向からの押し目38.2%でエントリー。
利食い目標1はアグリーメント。
利食い目標2はコンフルエンス。
MACD+ストキャスティクスのトレンド方向からの押し目38.2%でエントリー。
利食い目標1はアグリーメント。
利食い目標2はFIB 61.8%とフィボナッチエクスパンションXOPが重なる部分。
フィボナッチ水準(38.2%、61.8%)とフィボナッチエクスパンションCOPやXOPが
重なる部分をどう呼べば良いかはわかりませんが、
その水準で重なるということは意識されやすいと判断できます。
そのため利食い目標や損切り、ドテンのポイントとして
意識しておくようにしましょう。
まとめ
MACDのトレンドに合わせて、ストキャスティクスのシグナルで押し目や戻りを
フィボナッチ水準と組み合わせて売買し、フィボナッチの目標値やD-Levelsを
利食いや損切り目標とするのが今回の内容です。
MACDの期間設定は通常の数値とは違い、
Fast Period:8期間
Slow Period:17期間
Signal Period:9期間
ストキャスティクスの期間設定は
Fast %K:8期間
Slow %K:3期間
Slow %D:3期間
さらにMA Typeを両方ともSMMA(修正移動平均線/平滑化移動平均線)を
使うことになっており、この移動平均線の種類の方が有益だということです。
実際にこの方法で条件に合う動きと出会うのは、トレンドが本当に転換したときに限られるため、
この条件を満たすまでは、それまでの方向でトレードすることになるという逆説的なことが言えます。
そのため、本当のトレンド転換を確認するための指標としても使っていくのが
良いのではないかと思います。
以上でディナポリ手法の全てを解説しました。
もっと詳しいことを知りたければ本を読んでみて、理解を深めてみてください。
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