インディケーターは四本値を元に計算式が組まれているものがほとんどのため、
計算式を分解すれば、プライスチャートの何を示しているかを簡単に紐解くことができます。
FXを始めた当初は意識しなくてもいいですが、余裕が出てきたら
インディケーターを使う人は計算式を理解し、チャートの声を聞くことを心がけると
そのインディケーターの奥深さを知ることができ、もっと効果的に使うヒントが閃いてきます。
そこで、今回は計算式から読み取るシリーズとして、
一番わかりやすいストキャスティクスを解説していきます。
ストキャスティクスとは何か?(定義・背景)
ジョージ・レーンが考案したストキャスティクスは、
価格変動の「現在の終値が、ある期間内の高値・安値レンジのどこに位置するか」を
百分率で示すオシレーターの一種です。
相対力を示す指標で、トレンドの強弱や反転の可能性を補完的に判断するために使われます。
この種のオシレーターは「レンジ・モメンタム指標」の一形態で、
「価格の位置関係」を捉える点で RSI や %R(ウィリアムズ・%R)とも類似しています。
特にレンジ相場時や反転局面のシグナル検出に強みを持知ますが、
トレンド相場ではダマしも発生しやすいため、他指標との併用が基本となります。
ストキャスティクスの計算式
%K = (C−Ln) ÷ (Hn−Ln) × 100
%D = %Kのm期間移動平均
C:当日の終値
Hn:当日を含めた過去n日間 最高値
Ln:当日を含めた過去n日間 最安値
「%K」を順に計算していき、平均化したものを「%D」と呼びます。
通常、n期間は14、Mは3が使われますが、トレーダーによって異なります。
数式を分解すると、終値がレンジ上部・下部に近いほど %K の値は 100 に近づき、
レンジ下部に近いと 0 に近づきます。
なお以下では「%D」を20期間平均化したものを採用しています。
数式の意味
分母(Hₙ – Lₙ)はその期間の変動幅です。
変動幅が大きいほど “レンジ内部での位置” の比率が薄まり、指標の応答が鈍ります。
分子(C – Lₙ)は「終値 – 最安値」です。
終値が最安値に近ければ 0、最安値から上昇すれば高値寄りへ動く傾向にあります。
よって、ストキャスティクスは「現在の終値のレンジ内位置 × 相対レンジ幅の逆数」的な構造を
持つことがわかります。
ストキャスティクスの表示と設定
JForex4では、
1. 「Momentum Indicators」をクリック
2. 「STOCH」をクリック
3. 「追加」をクリック
ストキャスティクスの設定を変更したい場合
1.ストキャスティクス上でダブルクリック/または右クリックで設定を選択
2.「Fast %K Period :8」に設定(初期設定は9)
3.「Slow %K Period :3」
4.「Slow %D Period :3」
5.「OK」をクリック
※上記は一般的な数値設定です。
個人的にはFast%K:13、Slow%K:3、Slow%D:20が使いやすいです。
ストキャスティクスから読み取れる4つのサイン
ストキャスティクスの計算式は単純なため
チャートでどのような役割を果たしているのかがすぐに理解できます。
先ほどのストキャスティクスの設定で説明すると、
現在の終値(変動中のプライス)から安値を引くことで安値までの距離を出します。
この数値が8期間で動いた変動幅のどの水準にあるかを計算したのが
ストキャスティクスです。
レンジ方向性の示唆(継続的な高値/安値張り付き)
%K (実線)が連続して 80 に張り付くなら上昇トレンドの強さを示す可能性があります。
%K (実線)が連続して 20 に張り付くなら下降トレンドが強い可能性があります。
したがって「過熱=反転期待」という浅い見方は危険であり、持続性を読む視点が必要になります。
もう少しわかりやすく考えるために、[パーセント・ライン]という描画ツールを使い、
簡易的に考えていきます。
鉛筆アイコンから[パーセント・ライン]を選択し、適当なところに引きます。
パーセント・ライン上で右クリックで「レベルの編集」を選びます。
表示させるもの以外はチェックボタンをクリックして外します。
1.「20」を入力
2.「80」を入力
3.「OK」をクリック
これで変動幅の20%と80%のところにラインが表示されます。
簡易的なのでズレが生じますが、ストキャスティクスの数値と似たような水準で
パーセント・ラインの上の水準で現在の終値(価格)があることが分かります。
このようにストキャスティクスを表示させなくても
ある程度はパーセント・ラインで代用できてしまいます。
過熱水準(買われ過ぎ/売られ過ぎ)への到達
ストキャスティクスの20%は売られ過ぎ、80%は買われ過ぎと言われていますが
これはあくまで目安であり根拠が数学的に確定しているわけではありません。
むしろ20%や80%の水準を維持していれば、その方向にトレンドが出ている証拠です。
20%以下で売られ過ぎということは・・・
現在値と最安値の距離が短ければ短いほど、もしくは8期間内での最安値を
更新していれば更新しているほど下落の力が増しています。
同時に高値は変わらないので8期間の安値と高値の差が開いていきます。
この状態で20%以下で売られ過ぎだから反発しやすいという
訳の分からない理論に従っていたら損失が膨らむことは一目瞭然です。
反発する時もあるでしょうが、反発するかしないかというのは
値動きを見ていて 3バーを覚えてしまえば判断できます。
むしろ20%以下で推移してたら下への力が強いから下落が続きやすいと考えるのが妥当です。
同じように、80%以上で買われ過ぎということは・・・
現在値と最高値の距離が短ければ短いほど、もしくは8期間内での最高値を
更新していれば更新しているほど上昇の力が増しています。
同時に安値は変わらないので8期間の安値と高値の差が開いていきます。
この状態で80%以下で買われ過ぎだから反転しやすいという
訳の分からない理論に従っていたら損失が膨らむことは、先ほど同じで一目瞭然です。
80%以上で推移してたら、上への力が強いから上昇が続きやすいと考えるのが妥当です。
このように複雑な計算をしていないストキャスティクスは
チャート上に計算式を当てはめて考えられるため分かりやすいです。
ストキャスティクスの%Kの動きが値動きだけを見るだけで大体の予測がつくため、
現在値がどのくらい動けば%Dを抜けていくかということも大体想像がつきます。
インディケーターは値動きを元に複雑化しているだけなので
値動きをみれば分かるというのはこういうことなのです。
%Kと%Dのクロス
%K が下から上に抜けると買いシグナル、逆に上から下に抜けると売りシグナルとされます。
しかしダマしが多発するため、クロスだけで判断せず、チャートの形や他指標と組み合わせます。
ストキャスティクスでダイバージェンス/コンバージェンスを判断する
ダイバージェンス、コンバージェンス(逆ダイバージェンス)の判断は、
ストキャスティクスはなるべく20%以下、80%以上のところで判断します。
それ以外のところではダイバージェンスとして判断しません。
ダイバージェンスの種類一覧
価格の動きとオシレーターの動きで4種類あります。
ストキャスティクス以外にもMACDやRSIなども同じように判断します。
ストキャスティクス活用時の注意点と実践的対処法
トレンド相場ではダマしに弱い
トレンド発生時は指標がレンジ内で揺れ動くことが多く、偽シグナルが生じやすいです。
過熱水準の固定基準に依存しすぎない
80/20 の基準はあくまで一般的な使い方です。相場によっては 70/30、90/10 を使うこともあります。
他指標との併用
ATR、ADX、移動平均、ボリンジャーバンド、マルチタイムフレーム分析などと組み合わせて信頼性を高めます。
ダイバージェンスを過信しない
価格の騙し(フェイクアウト)やレンジブレイクとぶつかることがあります。
パラメータ最適化の罠
多すぎるチューニングは過去データへの過適合(オーバーフィッティング)を生み、
将来の実戦で破綻する可能性があります。
まとめ
- ストキャスティクスは現在の終値と安値の変動幅を
ある期間内の最高値と最安値の変動幅で比較したオシレーター。 - 「レンジ内での価格ポジション」を可視化する単純かつ有用なオシレーター。
- ストキャスティクスを表示させなくても計算式と同じことをすれば
パーセント・ラインを使ってほぼ似たような位置関係をプライスチャートから判断できる。 - ストキャスティクスの20%、80%での売られ過ぎ、買われ過ぎの基準は曖昧であるため、
鵜呑みにしないこと。逆にこの状態が続いていればトレンドが強いことを意味している。 - ダイバージェンスは4種類あります。(ダイバージェンス2種類、コンバージェンス2種類)
ダイバージェンスは20%以下、80%以上で%Kが推移しているところで判断するようにする。
以上が、ストキャスティクスで読み取れることになります。
ストキャスティクスはオシレーターのため、トレンドを判断するには
他のインディケーターを使うか、プライスチャートで判断しますが
プライスチャートで判断していくことをおすすめします。














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