J・W・ワイルダーと言えば、もはや投資をしている人なら知らない人がいないほど
長が強くほどの有名人です。
一人でATR、パラボリック、DMI、ピボットなどのテクニカル指標を作り、
さらにはワイルダーの定義(後日記事をアップします)を完成させた偉人です。
そんな彼が作り上げたものがRSI(The Relative Strength Index)と呼ばれるものです。
買い方と売り方の相対的な力関係を示したものであり、相対力指数と呼ばれています。
今回はRSIの計算式から正しい見方と使い方を解説していきます。
RSIが作られた背景と計算式
RSIが作られた背景には、誰でも思い浮かぶようなこんな疑問からです。
「ある期間内に、上昇した期間と下落した期間を調べたら、
買い方と売り方の力関係がわかるのではないか?」
これから生まれたのが心理的な節目を意味したサイコロジカルラインという指標です。
最近ではこの指標が搭載されているチャートはなくなってしまいました。
計算式は、
サイコロジカルライン=n日間の中で上昇した日数÷n×100
ですが、これには欠点がありました。
上昇した日数しか計算していないため、下落した売り方の勢力については考慮していません。
例えば、10日間のうち上昇した日が9日間であるとき、サイコロジカルは90%です。
しかし最後の1日で9日間の上昇幅が打ち消されたとき、サイコロジカルの90%は大きく矛盾してしまいます。
そして、日数だけでなく、上の例のように価格の合計も含めなければ正確な買い方と売り方の勢力がわかりません。
これらを踏まえてワイルダー氏は考えました。
それがRSIの計算式です。
RSIの計算式は2種類あり、計算方法は同じですが、計算の中身が少し違います。
1本目の計算式
RSI=A÷(A+B)×100
A:n期間の値上がり幅の平均
B:n期間の値下がり幅の平均
2本目以降は以下のように算出します。
RSI = A’ ÷ ( A’+B’ ) × 100
A’:(前の足で計算したRSI×(n-1)+当日の値上がり幅)÷n
B’:(前の足で計算したRSI×(n-1)+当日の値下がり幅)÷n
例)n=14期間の場合
A’:(前の足で計算したRSI×13+当日の値上がり幅)÷14
B’:(前の足で計算したRSI×13+当日の値下がり幅)÷14
計算式を見れば分かると思いますが、
値上がり幅の平均と値上がり幅と値下がり幅の平均を割ることで
買い方の勢力と売り方の勢力を正確に割り出せるようになりました。
これがRSIというものです。
次はRSIの見方と考え方を解説していきます。
(期間は基本設定の14期間となります)
RSIの見方と考え方
⑴70%以上は天井圏、30%以下は底値圏
なぜか巷では70%以上を買われ過ぎ、30%以下で売られ過ぎと判断し、
逆張りをするという嘘が出回っています。
上図を見る限り、買われ過ぎも売られ過ぎも当てにはなりません。
14期間のRSIで70%以上にあるということは、少なくとも9日以上は上昇、
もしくは残り5日以下でも価格の合計が追いつかないということになります。
またはそれに準ずるもの。
14期間上昇を続けることはほとんどありません。
また、14期間下落し続けることもほとんどありません。
必ずどこかで逆の動きで終えている期間が1つはあるため、
最高でも80~90%、10~20%付近で止まるようになっています。
だからと言って逆張りをしていいとは限らないため
そもそも売られ過ぎ、買われ過ぎという概念はないのです。
あるのは天井圏、底値圏という範囲だけです。
⑵が70%付近で反転、または30%付近で反発すればトレンド転換
これも絶対と言えないですが、他の指標やライントレード、チャートパターンで
フィルターをつけて確度を上げた場合に、この条件が出れば狙い目です。
⑶最高値を更新してもRSIは最高値にならない、最安値を更新してもRSIが最小値にならない場合、相場のトレンド転換が起きやすい
2枚のチャートを見てください。
最高値や最安値を更新しても、その時のRSIの最高値や最安値は更新していないことがわかります。
ダイバージェンスとは違う形でのトレンド転換のサインとなります。
多くの本やブログ、サイトではこれをダイバージェンスと呼んでいますが、
本家のJ・W・ワイルダー氏は次の項目のことをダイバージェンスと呼んでいます。
⑷ダイバージェンス
RSIの最も低い数値とその後にできる低い数値を結ぶライン。
RSIの最も高い数値とその後にできる高い数値を結ぶライン。
⑶と⑷の違いは何か
2つの違いがわかるでしょうか?
答えは1つの流れが終わっているかどうかです。
ダイバージェンスは1つの流れが終わるときに発生するものです。
厳密に言うとトレンドとは違います。(下位足を見るならトレンドと認識できる場合もあります)
⑶ではトレンドが終わる頃に出てくる転換サイン。
⑷では1つの流れが終わる頃に出てくる転換サイン。
説明のしやすさからトレンド転換という言葉を使ってしまいますが、
どちらも転換サインという枠で認識していただければ大丈夫です。
まとめと補足(Ehlers Laguerre RSI、Stochastic RSI)
RSIはいかがだったでしょうか。
計算式は意外とシンプルで、計算する内容も簡単だったはずです。
巷で使われている70%や30%での買われ過ぎ、売られ過ぎは間違いである理由や
ダイバージェンスとされているものが、実はワイルダーが提唱したダイバージェンスと違うことなど
多くのことを知ることができたのではないかと思います。
ダイバージェンスの認識の違いは、実は通常のテクニカル分析でも共通で
上昇から下落という1つの流れとそれらのつながりでできるトレンドは違います。
そういったことにも気を配れると、ラインを引く理由やポイント。
その下位足での変化にも気付けたりするため、この辺りはまた記事にしていきます。
最後にRSIにも種類があと2つあるので、それを紹介して終わりにしたいと思います。
・Ehlers Laguerre RSI
John Ehlersによって考案されたLaguerre変換を中心としています。
(Laguerreフィルターを使って、従来のEMAフィルターの反応を高速化している)
Ehlers Laguerre RSIは現在の価格、ユーザ定義のガンマ係数、
多くのフィードバックを使用して最終的な値を決めていきます。
使い方
80%を超えて、再度80%を割り込んだら売り。
20%を抜けて、再度20%を超えてきたら買い。
あまりいいポイントでサインが出ないため、
数値を変更するなどもっと工夫してRSIと同じ条件に絞るなどして
トレードポイントを絞った方が良いインディケーターです。
・Stochastic RSI
1994年にトゥーシャー・シャンデとスタンリー・クロールの二人が開発した
比較的新しいインディケーターです。
ストキャスティクスとRSIを合わせたもので、
RSIの値をストキャスティクスの計算式に当てはめたのがStochastic RSIです。
ストキャスティクスの計算式から、チャートで読み取る4つのこと
Stochastic RSIの計算式
ストキャスティクスの%Kは
%K=(C−Ln) ÷ (Hn−Ln) × 100
Stochastic RSIの計算式
(RSIの現在値-n日間のRSIの安値)÷(n日間のRSIの高値-n日間のRSIの安値)
Stochastic RSIの%Dはストキャスティクスの%Dに相当するので、
Stochastic RSIの値を設定期間で平均化したものになります。
Stochastic RSIの使い方
先ほどの初期設定ではわかりづらいので、RSIの時と同じ期間で設定し、
%Dは20期間としました。初期設定の3だと反応が早すぎるためです。
Stochastic RSIが示す値は、RSIのn日間の動きの中で、相対的にどのレベルにあるのかということで、
RSIが設定期間中でもっとも低い値をとった場合、Stochastic RSIは0を示します。
RSIが設定期間中もっとも高い値をとった場合は、Stochastic RSIは100を示します。
比較して見ると一目瞭然ですが、Stochastic RSIはRSIと比べて、
値動きにより敏感といった特徴があります。
RSIはもみ合いの相場だと50%付近で停滞しますが、
Stochastic RSIは値動きに反応しやすいため、%Dとのクロスをサインとした
トレードが当てはまりやすくなります。
しかしストキャスティクスの時でも同じですが
%Dとのクロスには特にエントリーのサインにはならないため
あまり信用し過ぎない方が無難です。
それにStochastic RSIとRSIをよく見て見ればわかりますが
RSIの高値や安値を更新しているポイントがStochastic RSIでは0や100なので
Stochastic RSIは特に必要ないインディケーターです。
紹介しておきながら何ですが、RSIだけを使えば良いでしょう。
ということで、RSIの記事は以上です。
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