基本的にインディケーター類を使うことはないですが
機能しやすいトレンドラインを引くための起点と終点を
はっきりさせるために使うことがあります。
本やサイトでは2本以上を使ってクロスしたら売買する、
移動平均線で反発したから売買すると書いていますが、
本当の使い方はそうではありません。
もちろんそれでも間違いではないですが、その時にトレードしても
利益になりやすいかというと、そうではないと言い切ることができます。
その理由からまず先に書き、その後に本当の移動平均線の使い方を解説します。
移動平均線は遅行性指標
まず、移動平均線は遅行性指標です。
つまり、必ず現在の値動きないし価格から遅れて計算されて表示されています。
これは直近の値動きに重点を置いてトレンド判断をしやすくした
EMA(指数平滑移動平均線)であっても同様です。
移動平均線はその名の通り、平均を線で表したものであることから
平均するための平均期間と平均に使用する価格の合計が必要です。
これらがデータとして蓄積し続けることで移動平均線が作られます。
これを理解していないと平均期間設定の聖杯探しのドツボにハマります。
というのも平均期間を変更すると平均に使用する価格の合計も変わり、
平均線は角度が急なものから緩やかなものへと変わります。
また、平均に使用する価格の変動幅によっても平均線の角度が変わりやすくなります。
例えば、21期間の単純移動平均(SMA)に設定したチャートがあります。
今はレンジ状態なのでなだらかな平行状態ですが、この後に大きく上昇したとします。
この上昇は徐々に上昇していくものとは異なり、急騰したものです。
たった1つの足でそれまでの21期間の平均を大きく超えてしまえば
移動平均線の角度は急激に上がります。
1つの足でなくとも9期間平均>12期間平均、3期間平均>18期間平均と言ったように
少ない期間で平均を上回ればそれまでの角度とは変わっていくのです。
これを理解しているのとしていないのとでは考え方が大きく変わり、
これを理解していれば移動平均線のクロスが遅すぎることは言うまでもありません。
移動平均線で反発したから売買するのは正しい一面もありますが
チャートを四六時中監視している人でないと難しいです。
そのため、移動平均線の遅行性を利用する方が利益に繋がりやすい
ポイントを見分けることが出来るのではないかと考えると視点が変わります。
これから解説していくのは、これらがベースになっています。
移動平均線の折り返しを天井と底とみなす
移動平均線をトレンドの指標として使うと仮定すると
値動きと同じように考えることができます。
ラインチャートのように折り返してきたところが天井と底と言う考えです。
移動平均線の場合はラインチャートより丸みを帯びた折り返しが多いですが
それらを超えてきたら上昇や下落のトレンドが発生するか、もみ合いの状態に
入っているかを判断します。
値動きも同様の考えとしますので、これら両方の条件を満たした時に
上昇トレンドや下降トレンドとしてみなします。
これらをわかりやすくした図がこちらです。
移動平均線は21期間のEMAを使用しています。
(Trading Viewのチャート)
値動きの安値を抜け、かつ移動平均線の谷(ボトム)を抜けた条件を満たしたものを
ピンクの矢印で示しています。
値動きの高値を超えられず、かつ移動平均線の山(トップ)を超えていない条件を
満たしたものを赤矢印で示しました。
これらの条件を複合して下降トレンドと言えますので、
高値の条件を満たした赤矢印同士を結び、そのラインを平行移動させて
チャネルラインを作ったのがピンクラインや黄緑ラインです。
青矢印は一度上昇トレンドになったポイントであり、高値です。
チャートはその後下落していきましたが、途中急落がありました。
しかし急落があっても移動平均線の谷(ボトム)は
前回の安値をつけた移動平均線の谷(ボトム)を抜けておらず
これでは条件を満たしていないのでラインもトレンドも判断できません。
そのため、前回の安値の価格と青矢印の高値のレンジ相場と見なせます。
そのあとはオレンジの枠部分を比較して、安値更新の条件を満たし、
その後高値切り下げの条件を満たしたことでダウントレンドの条件が
価格面と移動平均線面でも揃ったことでダウントレンドと判断。
ラインを引いて、平行移動もさせてチャネルラインを作りました。
その後どういう風にこのラインは意識されていったかは
実際に引いてみて判断してください。
上の例ではあえて解説していませんが、価格の安値を更新していないのに
移動平均線は(移動平均線の)谷(ボトム)を抜けている時や、その逆もあります。
その時は基本に従って判断するようにしてください。
まとめ
移動平均線は本やサイトに書いてるようなことばかりを信じて使うと
まず間違いなく利益にはなりません。
それは書いている本人がきちんと自分の理論を持って使っていないか
あえて書いていないかのどちらかです。
オシレーター類も計算式からチャートのどの部分を意味しているのかを
理解すると自分のトレード理論を築くことができます。
本やサイト、SNSに書いてあることをただ鵜呑みにするのではなく
自分の頭で考えて、チャートを見て、手を動かし続けることが
情報に惑わされないために必要です。
今回の内容もまだブラッシュアップしていくことができるので
もし参考になったら自分だけの手法に組み替えて見てくださいね!
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